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思ったこと、考えたこと、等々。

世界遺産劇場extra「大山祇神社」朗読劇『源平刀剣七夜譚』

帰り道に寄った岡山は美観区

情報解禁を職場でみて「大山祇神社ってどこにあるんだろう」とGoogleマップで調べたら島にあり、絶対行かねーよと一度は画面を閉じたものの結局行った。おたくってどこにでも行く。

帰路につきゆっくり調べたときには、すでにツアーは完売していた。
ツアーは一般席が対象で、前方確約のプレミアム席は自力で現地まで行かなければならない。既に選択できる状況ではなかったが朗読劇なんて前であれば前であるほど良いに決まってるし、まあ朗読劇をやるくらいだし自力で行ける場所なんだろうとかなり甘く見積もっていた。

どうせ泊まるなら近場で……とまず宿を調べたらそんな温度感にある立地ではなかった。かといって終演後なんて終バスはとっくになくなっているし……と思ったら臨時バスが出るとのことだった。お?なんか行けそうな気がしてきた。

チケットを申し込んだ。

当たった。


前日までマジで行くのかな…というあやふやな気持ちだったため、ボーッとしてたら臨時バスの予約期日が過ぎていたという特大ハプニングがあったりしたが無事当日を迎えた。美容室で締め切りが過ぎていることに気付いたとき生きた心地がしなかった。快く対応してくれた日本旅行さんに感謝。

ちょうど良い到着時間の新幹線がなくてはじめて新幹線の乗り換えをしたのだが、恥ずかしながらこの世に短い新幹線があることを知らず到着時間になってもホームに新幹線が来なくてふと振り返ったら遙か遠くに乗るはずの新幹線があり、諦めて見送った。30分くらい暇になったので岡山駅をウロついていたら強烈なデジャヴに襲われ「こ、ここは……!MANKAI STAGE『A3!』SPRING2022の香川公演で乗り換えた改札じゃないか…!!」と郷愁に襲われながら駅中のセブンでなんとなくホッカイロを買った。このときなんとなくホッカイロを買っていなかったら自分が今この世にいなかったかもしれないことを知らずに……。

福山に着いてホテルで一休みしてから急行のバスに乗った。そのあと路線バスに乗り換えるのだが、このバスに乗れなかったら開演に間に合わないため、乗り換えに余裕がある(※50分間)方にした。道の駅があるとはいえ悪い予感がしたので、おしゃれなパン屋でパンを購入しておいたのが正解だった。ホットスナックの類はすべて売り切れており、極寒のなかビールとソフトクリームしか売っていなかった。ビールにした。

なんとか晴れた愛媛の記憶。

しまなみのクラフトビールは買って帰りたいくらい美味しかった。寒かったけど。

路線バスに乗るためバス停で20分ほどぼんやりしていたらどんどん日が暮れてきて恐怖を感じた。大自然のなかで日が暮れると人間は恐怖を覚えるということが分かった。

路線バスに乗り大山祇神社に着いたら真っ暗だった。神社なので街頭とかはない。夜に来る場所じゃないし。入り口にあるお手洗いだけかろうじて明かりがあるけど他は真っ暗だ。オタクはうろうろしているけど案内係とかもいないからどこを目指したら良いかもよく分からない。でもなんか遠くのほうで明かりがぼんやりしてるからまあたぶんそこが会場なんだろうなとギリわかった。神社が真っ暗で良かった~。


目を見張るほどおおきな御神木(樹齢2600年の楠)、のハズだ――バンダーデッケン

大山祇神社に到着したあたりから薄々と感じていたが、まじで寒い。
東京はつい三日前に夏日だった影響でまったく寒さに免疫が出来ておらず、結果開演時刻ですでに寒さで震えていた。なんとなく買ったホッカイロをすべて開封し、どうにか凌いだ。本当に寒いとき、ホッカイロは脇に挟むと良いという知見を得た。得たくなかったな。

とにかく寒かったことしか覚えてないが、そのなかでも染谷さんが後方に下がって待機しているときもぞもぞしていて何をしているのだろうと思ったら腰に下げていたひょうたんの口をあけて飲み始めてそれって実用性あるんだ?とびっくりした。芝居の途中で雲間から見える星もかなり綺麗で星空の下みる屋外公演もいいものだなと思ったが気が狂っていたとしか思えない。

一番寒かったのは会場から臨時バスまでの道のりだった。
じっとしていることでどうにか保っていた体温がどんどんと奪われてリアルに奥歯がガチガチ鳴った。喋ったら喋っただけ体温が口から逃げていくとわかっていても寒すぎて喋っていないと発狂しそうなほど寒かった。

役者の手が震えているのが芝居なのか寒さなのかわからないような極寒の野外現場は金輪際ないといいなと思った。あったら行ってしまうので。


福山の居酒屋で食べた物がすべて美味しくてすべて報われた。

瀬戸内海ってサイコー。

ミュージカル『I’m donuts?』

初日、客席に入った瞬間今まで見てきたミクサと景色が違っていて驚いた。

なんか店がある。っていうか一階席にあのキッチンちゃんと見える席ある?ドーナツ作る話なんだよね?


複数回見る予定なので気にならないけど一回しか見られずに極端にサイドに寄ってしまったら残念に思うだろうなぁと思った。どこに座っても〝見えない場所〟がありそう…。

元々ステージが高いのに、セットの店舗自体にも床の厚みがあるのでさらに高くなっていた。
前方に入るとドーナツを作る手元がまったく見えないが、そういったシーンでは役者は基本自身の手元を見るため俯くので、前方に入らないと表情が見えない。

まあどちらとも見えなくてストレス!!!というほどでもないので妥協点は多くあったと思う。


ただ、声を大にして言いたいのは舞台装置自体は嫌いではない。

松崎さんらしい小道具・仕掛けがいっぱいあってそれを見ているだけで楽しい。リーチイン冷蔵庫を開けると機械音が大きくなるところ、飲食店で働いたことのある人間は全員興奮したと思う。

でもダンスを見るにはめちゃめちゃ邪魔なセットなのでやっぱ全部スケルトンにしてほしい。


今回の公演では階下のスタジオをグッズ売り場として公演中貸し切っていたので、どシリアスなシーンで軽快なポップミュージックが漏れ聞こえてくるなんてことがなくて良かった。毎回そうしてくれると助かる。

振付は福澤さんとのことだが、福澤さんが出た舞台で福澤さんが振付ではない舞台のほうが貴重なような気がしてきている。なにをどうしてただドーナツの箱を持ってるだけであんなにカッコイイのでしょうか。
それまでめちゃめちゃスン……と斜め下を向いて大人しい感じだったのにセッションの歌の入りがあまりにバチイケで毎回新鮮に動揺してた。おそらく〝ドーナツのことになるとアツくなってしまうミズナリさん〟を表現していたのだろうと思うのだけど何度も気が狂いそうになり大変危なかった。(誇張表現)


黒子はセットを回転させることが主な役割で、小道具の準備や後始末は基本的にキャストがする。ずれた小道具を定位置へ戻したり使った小道具が回転で飛び出てこないように丁寧にしまったりする姿を見切れ席から観測するのもかなり楽しかった。

実在するドーナツ屋と悪魔という一歩間違えたら大コケしそうな題材だったけれど演出が松崎さんであの規模の劇場……ということでかなり期待していた。というのも去年のドラフトグランプリで「松崎さんってあのサイズ感のステージで本領発揮されるタイプなのでは…?」と確信めいたものを感じており、その機会と自身の関心が合致する舞台をずっと楽しみにしていたからだ。

マキアの『人間にはウソを吐くけどスイーツにウソは吐かない』というセリフに躍らされすぎて「実はツブラとも裏で契約を結んでいるのでは…?」「精神を肉体に戻すとは言っているけど五体満足で生き返るとは一言も言ってないよな…?」などなど、ずっと疑っていたので初日は脳が無駄に疲れた。

結果的に何も考えずに観られて歌が聞けてダンスが観られてたのしい舞台でよかった。

立石さんと福澤さんの声の相性がかなりよかったのでまたミュージカルで共演があるといいな~と思う。個人的にミュージカルの歌と台詞の狭間のような表現が大好きなのだけれど福澤さんのそれが上手くてビックリした。もっとミュージカルに立つ姿が見てみたいなぁ。

立石さんがインタビューで『こういう役がやりたかった』と答えていたがまさに立石さんにやってもらいたいような『良いヤツ』だった。溌剌とした笑顔と滴る汗が健全で美しい。リョウの「こいつはダメだろ」の一言に説得力が増すようだ。後ろの髪の毛がヒヨコのように跳ねていて無邪気さが表現されている。あんな髪の跳ね方、三歳児までと立石俊樹にしか許されない。ウィッグでも同じ跳ね方するし。

入店初日のリョウが「辞めたくなるまで叩き込んでやる」と許可を下ろすまでの、ツブラのひきつった笑顔が日に日によくなっていくのがすごく良かった。ツブラのそれまでの苦労が垣間見えるようで勝手に切なくなるなどした。

直前でリョウがキッチンに入る前に一礼するシーンが好きだ。リョウがドーナツをつくることにどれだけのものを懸けているのかがわかる。その後「リョウ先輩あざっす!」で奇しくもツブラも一礼してからキッチンに足を踏み入れるところが、見ていて心地よいと感じるポイントだった。

リョウが病室へ向かうシーンで、長い階段をのぼる芝居もかなり良かった。
深く、大きな足音を立てながら一段一段踏みしめてのぼっていく。その先にあるものを見たくない、信じたくないと語る背中が痛ましくて良い。あれだけいつでも元気に明るく振舞っていた人間が無機質なベッドに横たわっている衝撃はかなり大きいだろう。ま、1階席からは見えないんだけど。

公演中に一生分のドーナツを食べた~と思ったのにあのじゅわじゅわドーナツを食べるとミスドが食べたくなって公演中にミスドに行ったし二度ほどお土産も買った。


初日、最初に食べておかないと後から食べるのはぜったいキツいと一階のアンテナショップで買ったけれどあまり記憶にない。あれ?食べたかな。食べてないかも。

ゴールデンチョコレートってこの世でいちばんおいしいかも。

MANKAI STAGE『A3!』ACT2!~SPRING2023~

 
人生初、推しキャラを演じる役者のファンになった。

今まで推しキャラを演じる役者に対して斜に構えることのほうが多かった。表題の作品の中にもでてきたように『解釈違い』という言葉がある。二次元のおたくにとってそれは些細なことでも目を瞑れるようなことでもない、少なくとも自分はそうだった。

だから、もしかしたら今までこんなに楽しく通ってたエーステも行かなくなる日が来るのかも。
と、思ったりなどしていたがそれは杞憂に終わり久しぶりに『2.5次元舞台に行けるだけ行く』こととなった〝MANKAI STAGE『A3!』ACT2!~SPRING2023~〟にて、卯木千景役の染谷さんのファンになった。

東京公演からその兆候はあった。けれど「今さらハマりたくない」という意地だけがどうにか理性を奮い立たせていた。
染谷さんを初めて見たのはテニミュで、1stが楽しかったから…という気持ちのおつりだけで2ndの本公演を全部観た。が、いわゆる推しと呼べるキャストは最後まで出来なかった。
なのでその他大勢の一人であり、特別に記憶が残っているわけじゃない。フラフープが恐ろしく下手だったことくらいだ。*1

そこから恐らく代表作と呼ばれそうな作品はおおよそ観劇している。
というのもその頃ジプシーだった私を舞台に誘ってくれていた当時のフォロワーが染谷さんのファンだった。フォロワー、元気でいるか?頑張っているか?あの時はまったく耳を貸さずすみませんでした。

斜に構えるどころの話ではなく迎えたSPRING2022初日、一幕を見終えバカみたいに泣いていた。
あんな推しキャラの〝情緒〟を見せてもらえて泣かないおたくっているんだろうか。いるだろうけど。いやいないだろ!!!と、激しく情緒を不安定にさせながら休憩中も引き続き涙が出た。

ええ…?最高なんだが……?

初日はオペラを使わない主義だからとオペラグラスを家に置いてきた自分を殴りたかった。一幕ラストの表情だけでも全公演分じゃ足りない。卯木千景、恐ろしい男。

余談だがこの日以降全日オペラは持ち歩いている。


上記の理由で幕が開くまでこの公演を楽しめる気がしていなかった。

2.5作品ってビジュアルがすべてだと思ってたし。でももうそんなことどうでもいい。
染様以外の千景、ぜったいに見たくないよ。


ここまでの華麗な手のひら返しがこの世に存在していいのだろうか。でも最高だったんだからしょうがない。一発KOを食らいボコボコで帰宅した。
でもまだ落ちてはない。だからグッズも買わないし。個ブロは事前通販で買ってたけど(買ってたんだ…)。

てか今更過ぎてホント、やだ。


思い返せば「ハマるのヤダしファニコン解約しとくわ!!!」と豪語しファニコンを解約したあたりから怪しかった。その2ヶ月後に入会しなおすことになるのだが。おたくは己の欲に逆らえない。〝ずっとファン〟という平成の俳優おたくがTwitterのプロフィール欄に書き込んでそうな称号バッヂも手に入れた。

もうこんなに夢中になれる演目はエーステでは出会えないだろうな、という確信で悲しくなるくらいに無我夢中で終えた2回目春単独公演だった。



そうしてまた季節が一巡し、3回目の春単独公演がやってきた。

SPRING2023もとっても楽しかった。

魔界・立川ステージガーデンとは1公演でも早く縁を切りたいが、グリスプに美味しいごはん屋さんが多くあるのでどうしても憎みきれない。1000円クーポン夏単でも配ってほしいおねがい。

立川ステージガーデンとのゆるやかなお付き合いを経て『まあいっか、チケットが取りやすいし』という境地に到達しそうになったがTDCに座った瞬間あらゆる音がクリアに聞こえて泣いた。ねえ今すぐ異次元へ還そう?*2

今後も付き合いが続くであろう小屋の愚痴はさておき前回のSPRING2022で『今までのエーステよりクォリティを上げていきたい(意訳)』という製作陣の熱意をそこかしこで耳にしたが、実際に大きく変わったと感じたのは2023だった。もちろん2022で盆がまわったときはエーステもでっかくなったんだなと感動したが、2023の舞台セットには『洗練された美しさ』に近い感覚を得た。

2022は全組通して気が散る配色や謎の段差、立川ステガの後方まで響き渡るセットを動かすゴロゴロ音などやりたいことはわかるんだけど……………と三点リーダーを拭えなかった。もちろん初演当時の配線や機材が剥き出しというような舞台美術の稚拙さはどこにも感じられない。が、2022はなんかちょっと惜しい感じ、だった。エーステの舞台セットに美しさを感じられる日が来てよかった。


至と外岡の学生時代の話は、原作よりも外岡の胸糞行動が控えめに調整されていて、それゆえに改めてこの二人が和解をしない、A3!にしては珍しい離別エピソードだったことをまざまざと感じた。外岡が『嫌な奴』であることに変わりはない。けれど武東さんが絶妙にいつも楽しくなさそうな顔をしていたところがすごいと思った。口では「俺も謝らないから!」というのにその顔は誰よりも哀愁を漂わせている。情けで許されでもしたら自分の人間性がまじで終わっていることを認めることになり、それが恐ろしいのだろうと思わされた。

立石さんの至はめちゃくちゃイイやつなのでその分外岡の空回り感がえぐくて、けれどどう考えても自業自得なので救われてほしいとかは微塵も思わない。

でもいつかいつでもいいから酒の一杯くらいは飲んでやってくれないか…そう願ってしまう武東さんの哀愁表現が素晴らしかった。


「春組で、俺の主演でやらせて貰えないかな」このセリフを初演から続けている役者さんで聞けたことが本当にうれしかったし最高にエモかった。
この演目で主演をやることが人生の春になるといいな…と思って毎回涙が出た。エーステのこと、好きすぎ?

諸事情により千景が歌えないので至が一幕の歌唱のほぼすべてを担っていたが原作愛を熱弁する曲目では腕立てや腹筋をしながら一ミリも声をブレさせず感情を乗せて歌っていてさすがエリザベート帰りの役者は違うな…と素直に感銘をうけた。MANKAIカンパニーで腕相撲が一番強そう。


《Nights of Round Ⅳ》の劇中劇ではSFファンタジーものをやってきたネルケの集大成みたいなモンスターや試練が出てきて気を抜くと笑ってしまいそうで大変だったけれど秒でガウェインにメロになったので事なきを得た。よかった~。

身長くらいありそうな斧を振り回す染谷さんはかなりかっこよかったし殺陣は他キャスト含めて見応えがあるシーンが多かった。
FC限定対談配信でキャスト間でも話題にのぼっていたけれどモードレッドの殺陣はマジでかっこよくて痺れた。演出もバチバチにキマっててすごかったが刀さばきがダントツで速くてかっこいい。ナイランは初日から完成されていた、というよりエンタメ要素がかなり強かったので突き詰めていくという余地は少なかったと思う。


二幕ではなんと『ラブリーブラザー(仮)』という神曲爆誕してしまった。とにかくみんな推ししか見てないので観劇情報が一致しない。っていうかベッドを縦にするなってあれほど言っただろ。*3

二幕といえば触れざるを得ないが、タンジェリン役の新谷くんの喉が不調で急遽そでから声をあてるという演出変更が東京~神戸のあいだで続いた。
最初はそんなに上手くいくのだろうか、と思っていたがこれがかなりとっても良かった。まさに二人で一役の神業で、違和感もないに等しい。

もちろん肉声に戻ったことは喜ばしいことだが、タンジェリンの心情を台詞で丁寧に演じられる演出もかなり涙腺に来た。白石くんって、何者?



SPRING2023で一番変わったなと思うのが、キャストの芝居が大袈裟ではなくなってきたところ。
とにかく声を張ったり身振りが大きかったり、『脚本の隅々までぜんぶを表現しよう』とする印象があり客席に託される余白が極端に少なかった。

2023になってそういう『今芝居をしています!!!』という違和感がずいぶんと減ったと感じた。エーステの製作陣って観客のこと何一つ信用してないよな…と思ってたけどやっと信用してくれたみたいでよかった。


それを感じた最たるものは《春ケ丘カルテット》の劇中劇だった。

正直こんなに良いものが観られるなんて思っていなかったので喜びを感じた。カルテットはまさに『静』の芝居だったと思うがこんな表現が春組で成立する日がくるとは…とSPRING&SUMMERを思い出してしみじみした。

凱旋初日の完成度には鳥肌が立った。神戸公演が三公演しかなかったのが本当に口惜しい。あと一週間あったらどんな演技が凱旋公演で観られたんだろう…と思う。あと私も神戸公演を観られたと思う。

東京公演まではのっぺりとした印象から脱さなかったが、凱旋で日野のチャラさが強く出ていてそのスパイスがとてもいい味を出していた。元から良かった庸太が、周囲との相乗効果でまた更によくなり、毎日怒りの芝居を変えて試行錯誤し、それに応えていくエニス…という図が観られて毎回胸がいっぱいになった。胸がいっぱいのまま《はじまりはカルテット》が流れると涙が止まらなくて、庸太とエニスが顔を見合わせるシーンとか、TDCの空調の関係で下手に集中する花びらが千景の頭に乗るか乗らないかレースを観測するのとかで忙しいのに涙で見えずに困った。


千景に関しては前回のような激情にのまれるような芝居は観られなかったが、その代わり毛色のまったく違う劇中劇が二つあったので見応えがあった。

一五一会》の一曲のなかで〝2022のまだ輪に入り切れていない千景~2023春組を家族と認識している千景〟を見せられて客席で卒倒するかとおもったし配信でも擦り切れるほど繰り返し観た。イントロでわちゃわちゃ会話したのに、ソファーから前に出てくるまでの間に2022の千景の顔になっている。目を疑った。本当にヤバ、だった。一曲でこれまでのすべてを見せてくれるの最高以外言葉が見つからない。

染谷さんの芝居で良いな~と思うところはまたあれが観たいと思った表情や仕草が、次の公演のまったく同じタイミングで同じものを提供してくれるところだと思う。
初日からずっと同じことを最高のタイミングで見せてくれる(不採用になったり新たに採用されたりもある)。

そういう意味では日替わりにどんどん引きずり込まれてイレギュラーな千景が見られたのは貴重でうれしかった。
伝説のドッペルゲンガー*4もぜひとも収録してほしい。

いやしてほしくないかも。

ガニ股で駆け寄ってくる千景、もう観たくないかも。(訳:ぜったいに見たいので収録してください。)


しばらく春組の6人が揃うの観られないとかある…?と思うと心の底からどんよりしてしまう。
また6人で芝居しているところが観たい。

誰も悲しまない、誰も怒らない、そんな幸せなステージ。*5
それがエーステ。

*1:ミュージカル『テニスの王子様』春の大運動会にて〝障害物競走〟の記憶

*2:立川ステガはいろいろ最悪なことはあるけれど音響が特別最悪

*3:ミュージカル『テニスの王子様』3rd青学VS立海にて〝幸村のベッドが縦〟で見る者たちを激しく動揺させた

*4:新作公演日替わりで〝支配人のドッペルゲンガー〟役をすることになった千景の大事故回

*5:北園さんのたーは最高